「学校には行けない。でも、誰かとは話したい」
「外に出るのは難しいけれど、勉強はしたい」
そんな子どもたちに向けて、大阪市が新しい不登校支援を始めています。
2026年9月、大阪市は「教育支援センター(メタバース)」のモデル運用をスタートしました。
自宅などからオンライン上の仮想空間に入り、アバターを使って学習したり、相談したり、他の子どもと交流したりできる仕組みです。
「学校に行く」でもなく、
「完全に一人で過ごす」でもない。
その間に、新しい選択肢を作ろうとしている取り組みです。
今回は、この大阪市のメタバースを使った不登校支援について見ていきます。
そもそも、どんな取り組み?
大阪市が始めたのは、不登校の児童生徒向けのオンライン上の教育支援センターです。
対象になっているのは、大阪市立の小学校・中学校・義務教育学校に在籍する不登校の児童生徒のうち、
外出することが難しく、学校内外の支援機関などとも十分につながれていない子どもです。
本人と保護者が利用を希望することが条件で、大阪市はおよそ350人の利用を想定しています。
利用する子どもは、自宅などからパソコンやタブレットでメタバース空間にアクセスします。
そこでは実名ではなく、アバターやニックネームを使って活動します。
ゲームのような仮想空間を想像すると分かりやすいかもしれません。
ただし、単純に仮想空間で遊ぶサービスではありません。
目的は、「学ぶこと」「誰かに相談すること」「他者とつながること」です。
メタバースの中で何をする?
大阪市の教育支援センターでは、大きく分けて3つの支援が行われます。
まずは学習支援。オンラインで学習できる機会が週3回設けられています。
次に相談支援。困っていることや不安について、心理の専門家に相談できる機会が週1回あります。
そして交流活動。イベントなどを通して、他の児童生徒と一緒に活動する機会も週1回用意されています。
さらに、子どもだけではありません。
保護者もメタバース上で相談したり、保護者サロンに参加したりできます。
担任の先生による見学や面談など、在籍している学校との連携も行われます。
つまり、
「オンライン上にもう一つの居場所を作る」
というイメージに近そうです。
大阪市では7,000人以上が不登校
こうした支援が必要とされている背景には、不登校児童生徒の増加があります。
大阪市によると、2024年度の市立学校における不登校児童生徒数は、
小学生が2,294人
中学生が4,893人
合わせて7,187人でした。
もちろん、不登校になった理由は一人ひとり違います。
友人関係の場合もあれば、勉強への不安、生活リズム、心身の不調、家庭環境など、いろいろな要因が考えられます。
そのため、「学校に来られないなら、この方法」
と一つの支援だけですべて解決するのは難しいでしょう。
学校の中に別室を用意する。
教育支援センターを利用する。
家庭で学習する。
オンラインで人とつながる。
いろいろな選択肢があって、その中から本人に合った方法を考えることが必要なのだと思います。
大阪市でも、学校内の「スペシャルサポートルーム」の拡充など、メタバース以外の不登校支援も進めています。
「学校に戻すこと」だけがゴールなのか
不登校支援について考えるとき、
「どうしたら学校に戻れるだろう」
と考えてしまいがちです。
もちろん、本人が学校に戻りたいと思っていて、そのための支援ができるのであれば、とても大切なことです。
でも、
必ずしも最初の目標を「教室への復帰」にする必要はないのかもしれません。
例えば、
朝起きられるようになった。
メタバースにログインできた。
他の人に挨拶できた。
先生に悩みを相談できた。
久しぶりに勉強してみようと思えた。
こうした小さな変化も、その子にとっては大きな一歩かもしれません。
大阪市も、今回の事業について、自己肯定感の向上や生活習慣の改善、学習意欲を引き出すことなどを通して、将来的な社会的自立につなげることを目的としています。
「学校に来られたか、来られなかったか」
だけではなく、
その子が社会とのつながりを失わず、自分のペースで次の一歩を踏み出せるか。
そんな視点が必要なのだと思います。
教採受験生としてどう見る?
教員採用試験を受ける人にとって、不登校はかなり考えておきたいテーマの一つです。
例えば面接で、
「不登校の児童生徒にどのように対応しますか?」
と聞かれることもあるでしょう。
このとき、
「学校に来られるように声をかけます」
だけでは少し足りない気がします。
大切なのは、
なぜ学校に来ることが難しいのか。
本人は今どう感じているのか。
どんな方法なら人とつながれるのか。
学校以外にどんな支援機関があるのか。
そうしたことを一人ひとりに合わせて考えることだと思います。
今回のメタバースも、
「不登校の子にはメタバースを使えばいい」
という答えではありません。
あくまで、たくさんある支援方法の一つです。
だから面接で考えるなら、
「本人の気持ちを丁寧に聞き、保護者や校内の教職員、専門機関とも連携しながら、その子に合った学び方やつながり方を考える」
という視点を持っておくと良さそうです。
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